2008年09月18日

おもてなしのお香

お香についてこんなご質問をいただきました。

>香を焚きたいと思うのですが、そもそも香は仏事のときに焚くものといいます。
>客人のあるときに焚いても失礼にならないのでしょうか?


お香は仏事の時に焚くのがはじまりですが、
これは仏前を清め、清浄を保つために焚かれたものです。
けっして不吉なものではありません。

おもてなしの席での香りとして「迎え香」はいかがでしょう。
お客様がお見えになる前にお香を焚いておき、来客時に残り香が漂うようにしておくのです。
あくまでさりげなく、ほのかに香る程度に…
十人の人がいて、全員が香を焚いていると気づくようでは香りが強すぎるのだそうです。

特にお食事の予定があるときなど、強い香りは避けたいですね。
心をこめたおもてなしで、お客様に喜んでいただけますように…

参考文献

学研「かおる」
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2008年09月17日

香炉の飾り方2

前回はお客様からの、香炉の飾り方についてのお問い合わせについて考えましたが、
香炉はいつ頃から、飾られるようになったのでしょう。

「香」は仏教とともに日本に伝わりました。
仏前を清め、諸仏に祈願をこめる儀式としての供香(そなえこう)が
香のはじまりとされています。

当時の仏教は政治の中心でもあり、供香は天皇自らが焚香(ふんこう・香を焚くこと)を
行ったということです。

国の重要な儀式に使われるのですから、香炉も技術の粋をつくして作られました。
このころから香炉はただ香を焚く道具というだけでなく、芸術性、装飾性の高いもの
だったのだと思います。

仏前を荘厳する五つの法具(仏具)を「五具足(ごぐそく)」といいます。
これは(外側から)一対の花立と一対の燭台、中央に香炉です。
これを略した「三具足(みつぐそく)」は向って左から花立、香炉、燭台です。
(法事のときに、並べ方がわからなくて、困ったことがあります><)
日本の飾り、床飾りの基本はこの仏前荘厳からきているのだされています。

こんなことを考えるとなんだか堅苦しいですが、
仏前でなくても、床の間でなくても、美しい香炉を飾ることで、
少し、厳かな空気が生まれれば、いいかも、と思ってます。


参考文献

平凡社「日本のかおり」
淡交社「床の間の道具」

無断転載はお控下さい
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香炉の飾り方

>質問ですが香炉のただしい飾り方や決まり事など、ありましたら教えてもらいたいのですが。
>よろしくお願い致します。

こんなご質問をいただきました。

香炉の飾り方の決まり、といっても、「洋間にも置いて欲しい!」というのが
私どものコンセプトですから、厳密な決まりごとにはこだわっておりません。

ただ、香炉の正面には気をつけて下さい。
脚が三本ありますので、一本脚が正面になるように(こちらを向くように)置いて下さい。
模様のあるものでしたら、一番華やかな面、一番お好きな面を正面になさるといいでしょう。
また、裏を返せば銘が入っていますので、銘の頭が正面になります。
蓋の摘みに獅子など、動物がついている場合はその面(おもて)が正面を向くよう置きます。

床の間に置く場合ですが、
畳床に飾るときは、香炉台や薄板を使います。
板床の場合は特に台は必要ないとか。
ただ、掛軸とのバランスで、台に置いた方がいい場合もありますね。
一般のご家庭の床の間に飾られる場合、あまり厳密に考えることはないのでは、
と思います。


ちなみに、茶道の世界では、床荘り(とこかざり)には様々な決まり事があります。
掛け軸は墨跡(ぼくせき・墨筆で書いた文字のこと、主に禅宗の高僧の筆跡)が一番とされ、
花入れは軸に対して下座に置きます。
茶席の床には香合を置くことはあっても香炉を置くことはあまりありません。
茶道ではお茶の香りが大切だからかもしれませんし、お手前で香を焚く事があるからかもしれません。

間違いがあればどうぞご指摘ください。

参考文献
淡交社 「床の間の道具」

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2008年09月16日

お香の歴史3

お香については専門家ではありません。
私なりに得た知識を、お香をまったくご存じない方向けに、書いておこうと思います。
専門家ではないひとりよがりの知識であること、ごく初心者の方むけの記述であることを、
ご理解の上、参考としていただければ、と思います。



「香道」の成立は室町時代

平安時代の香は「薫香(たきもの)」と呼ばれる「練香(ねりこう)」でしたが、
日本人が香木を焚き、その香りを楽しむようになったのは、鎌倉時代に入ってからです。
貴族から武士へと政権が移り、人々の美意識や価値観に大きな変化があったのでしょう。


さらに室町時代、足利義政の元、茶道や立花(華道)とともに「香道」が成立します。


「香道」は一定の作法のもとに香木を焚き、その違いを聞き(香りをかぐこと)あてますが、
それだけでなく、古典的な詩歌や故事、情景を鑑賞する文学性、精神性の高い芸道です。

足利義政は室町幕府の8代将軍ですが、3代将軍義満の孫にあたります。
足利全盛期を築いたとされるおじいちゃんに対して、孫の義政は政治は側近まかせで、
建築や庭園、絵画、その他様々な趣味にかまけていた、困ったお坊ちゃんだったよう。
けれど、こういう桁はずれの道楽者がいてこそ、文化の花がひらくというもの。
この時代の文化はその後の日本に大きな影響をもたらします。

ただし「香木」はやはり貴重品。茶道や華道は、その後庶民にまで広がりましたが、
香道があまり広がらなかったのはそのためとも言われています。



「お線香」は江戸時代生まれ

「香」というと多くの方が思い浮かべられるのは「お線香」かと思います。
この「線香」の製造技術が日本に伝わったのは今から400年ほど前。
比較的歴史は新しいのですね。これは意外です。
朝鮮から渡った人が長崎で作り始めた、という説と、
中国福建省から五島一貫という人が堺に技術を伝え、京に定着した
という説があるそうです。
たぶん、いくつかのルートがあったのでしょうね。


参考文献
平凡社「日本の香り」
学研 「かおる」
株式会社松栄堂 「香りのさんぽ」

無断転載はお控え下さい。




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2008年09月12日

お香の歴史2

香炉という商品を扱っておりますので、お香についてのご質問もいただきます。


お香については専門家ではありません。
私なりに得た知識を、お香をまったくご存じない方向けに、書いておこうと思います。
専門家ではないひとりよがりの知識であること、ごく初心者の方むけの記述であることを、
ご理解の上、参考としていただければ、と思います。


平安貴族と香り

仏教とともに日本に入ってきて、儀式やお供えとして使われたお香ですが、
奈良時代後半から、平安時代にかけて、仏教から離れて自由に香を楽しむかたちができあがります。

これには、753年、苦難の末日本に渡った唐僧鑑真、によるところが大きいとか。
鑑真和上は仏教の戒律とともに、多くの文化を日本に伝えました。
そのなかに、数々の香木、香料やその調合法も含まれていたのです。


平安時代に貴族の間でひろまった「空薫物(そらだきもの)」
居住空間などに香りを漂わせるお香の楽しみ方です。
この空薫物に使われるのは、香木ではなく、「薫香(たきもの)」と呼ばれる「練香(ねりこう)」です。
何種類かの香料や蜂蜜や梅肉なども使って練り合わせた黒い丸薬のようなお香です。
(見た目はとっても苦いお薬のよう!)
この「薫香」を作る技術を伝えたのが鑑真和上なのですね。


「源氏物語」にはこの空薫物についての記述が多く出てきます。
「空薫物のかおりが心にくくただよい、名香の香などもあたりにみちているのですが、
 君のお袖の追風がひとしお匂い渡りますので、
 奥に隠れている人々もなんとなく胸を躍らせる様子です。」
(新々約源氏物語 若紫の巻)

当時の貴族は人を迎える心づかいとして、部屋には香をたきこめていたこと、
源氏の君のような高貴なプレイボーイは、また特別にかぐわしい香りを着物にたきしめ、
周囲をくらくらさせていたことがわかりますね。

この「薫香」は各貴族の邸宅でそれぞれに調合して作られていました。
その調合法も貴族の教養として重んじられたのだと思います。

かぐわしい香りにつつまれた、なんと優雅な平安貴族、と思いますが、
現在のように入浴や洗髪も充分にはできなかった時代、
体臭や衛生上の臭い消しの意味合いも強かったでしょうし、

当時の暮らしを考えると、
宮廷や貴族の邸宅は、清潔に保たれていたかもしれませんが、
一歩外へ出て、下々の人々の暮らしを考えると…
上下水道などなく、不衛生で、疫病が流行ることもあったはず、
街は現在では考えられない腐臭が漂っていたかもしれません。
貴族邸での空薫物には、このような外からの臭いをさえぎる意味もあったのでは、
という説もあります。(松栄堂さんでうかがった話)
そして、良い香りを漂わせることで邪気を払うという意味もあったのでは、
というのは「陰陽師」大好きな私の私見でございます。



参考文献
平凡社「日本の香り」
学研 「かおる」
株式会社松栄堂 「香りのさんぽ」

無断転載はお控え下さい。

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